【初心者向け】初めてのクラウド会計、失敗しないための10のチェックリスト
「経理の仕事って、なんだか難しそう…」「確定申告って大変そう…」。
個人事業主や中小企業の経営者、経理担当者の皆さんにとって、会計業務は頭を悩ませる種かもしれません。紙のレシートを整理したり、Excelに数字を入力したりする作業に、毎日追われている方もいるのではないでしょうか。
そんな経理の悩みを一気に解決してくれるのが「クラウド会計ソフト」です。でも、いざ導入しようと思っても、たくさんのサービスがあって、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。
このチェックリストでは、初めてクラウド会計を導入する方が、自分にぴったりのソフトを見つけて、スムーズに使い始められるように、絶対に確認すべき10のポイントを、解説します。
1. なぜクラウド会計?まずはそのメリットを再確認しよう
「クラウド会計」とは、インターネットにつながったパソコンやスマホで使う会計ソフトのことです。これまでのように、特定のパソコンにソフトをインストールする必要はありません。この違いが、実は経理の仕事を劇的に変えるんです。
従来のインストール型ソフトと比べて、クラウド会計にはたくさんのメリットがあります。
- どこでも作業できる: インターネット環境さえあれば、自宅のパソコンでも、出張先のカフェでも、スマホでも作業ができます。場所や時間を選ばず、経理業務を進められるのは大きな強みです。
- 常に最新の状態: 法律が変わったとき(インボイス制度や電子帳簿保存法など)も、ソフトが自動でアップデートしてくれるので安心です。インストール型ソフトだと、法改正のたびに新しいバージョンを買い直さなければならない場合もあります。
- 手間を大幅に削減: 銀行口座やクレジットカードと連携して、お金の動きを自動で取り込んでくれるので、手入力の手間がほとんどなくなります。
このように、クラウド会計はただ経理を楽にするだけでなく、あなたの事業をもっと柔軟で強くしてくれる便利なツールなのです。
2. 料金体系をしっかりチェック!「サブスク」って高いの?
クラウド会計ソフトは、毎月や毎年お金を支払う「サブスクリプション(月額・年額制)」が主流です。そのため、「買い切り型のソフトより高くつくのでは?」と心配になるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
- 初期費用はほとんどかからない: 多くのサービスは、使い始めの費用(初期費用)が無料です。
- 無料プランや無料お試し期間: 「弥生会計オンライン」の「やよいの白色申告 オンライン」のように、基本機能をずっと無料で使えるプランもあります。また、「freee会計」や「マネーフォワード クラウド会計」のように、1ヶ月間無料で試せるサービスも多いです。
たしかに月々の費用はかかりますが、そのぶん、法改正の手間や時間、入力ミスを減らすことができ、結果的にトータルで考えると、とてもお得になることも多いのです。
3. あなたの「簿記の知識」と「操作性」は合っている?
クラウド会計ソフトは、サービスによって操作画面(UI)が大きく異なります。経理の知識がどれくらいあるかによって、使いやすいソフトが変わってくるので、ここはとても大事なポイントです。
ソフトの画面は、大きく2つのタイプに分けられます。
- 会計に弱い方でもわかりやすいタイプ: freee会計が代表的です。まるで質問に答えるように入力するだけで、仕訳が完了します。経理が全く初めての方や個人事業主の方にぴったりです。(簿記の知識ゼロでの利用はお勧めできません。)
- これまでのソフトに近いタイプ: マネーフォワードや弥生会計が代表的です。経理の経験がある方にとっては、使い慣れた画面で作業がしやすいのが特長です。
それぞれのソフトには、こんな違いがあります。
| サービス名 | 料金プラン(目安) | UI/操作性 | 主な強み・特徴 | サポート体制 |
| freee会計 | 月額2,980円~(法人) | 「複式簿記を感じさせない」独自のUI | 銀行口座との自動連携やAIによる勘定科目提案、豊富なスマホアプリ機能 | 電話、メール、チャットサポートあり |
| マネーフォワード クラウド会計 | 月額2,480円~(法人) | 「従来の会計ソフトに近い」UI、直感的で分かりやすい | 2,300以上の金融機関と連携、AIによる自動仕訳、他サービスとの連携が豊富 | メール・チャットサポート |
| 弥生会計オンライン | 月額2,900円〜(法人)初年度無料キャンペーンあり | 手入力が多いがシンプル、青色申告書の作成が簡単 | 圧倒的な導入実績、初期導入コストが低い | プランによってサポート内容が異なる、有人メール・チャット、電話サポートあり(弥生会計Next) |
※上記は2025年9月時点の代表的なプランの税抜料金です。キャンペーンや割引が適用される場合もあります。
4. 経理を「自動化」する「API連携」って何?
「API連携」は、クラウド会計が従来のソフトと最も違う点の一つです。「API」とは、簡単に言うと、ソフトとソフトを繋ぐ「架け橋」のようなものです。
この架け橋のおかげで、あなたの銀行口座やクレジットカードの明細を、会計ソフトが自動で読み込んでくれるのです。
この「自動連携」には、こんなにたくさんのメリットがあります。
- 手入力がなくなる: 面倒な入力作業がほとんどなくなり、経理担当者の負担がぐっと軽くなります。
- 入力ミスがなくなる: 手動で入力するミス(例えば、金額を間違えるなど)がなくなります。
- 会社の状況がリアルタイムでわかる: 毎日のお金の動きが自動で記録されるので、いつでも最新の会社の経営状況をチェックできます。
マネーフォワードは2,300以上(または3,000以上)もの金融機関と連携できるので、使っている銀行やカードが対応しているか、ぜひ確認してみましょう。
5. どんな機能が必要?困ったときは誰に聞けばいい?
ソフトを選ぶときは、あなたの会社に必要な機能が揃っているか、そして困ったときに助けてくれるサポートがあるかをチェックしましょう。
- 電話、メール、チャットなど、どんなサポート方法があるかは、サービスや料金プランによって違います。
- 特に経理初心者の方は、電話で直接相談できるサポートがあると安心です。freee会計や弥生会計Nextは、電話サポートを提供しています。
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6. セキュリティは大丈夫?データを守るための心得
「大事な会社のデータをインターネットに預けるのは怖い…」と感じるかもしれません。でも、ほとんどのクラウド会計ソフトは、銀行と同じくらい高いセキュリティ対策を行っているので安心です。
- ソフト会社の対策: データは暗号化されていて、不正なアクセスから守られています。
- あなた自身の対策: ソフト会社がしっかり守ってくれても、使う側にも責任があります。推測されにくいパスワードを設定したり、二段階認証を使ったりすることがとても重要です。また、従業員ごとにアクセスできる範囲を決めることも、情報漏洩を防ぐ上で大切です。
7. 法律が変わっても安心?自動で対応してくれるか
クラウド会計の大きなメリットの一つが、法律改正への自動対応です。例えば、インボイス制度や電子帳簿保存法といった、経理に大きな影響がある法律が変わっても、特別な操作は必要ありません。
ソフト会社が自動でシステムをアップデートしてくれるので、常に最新の法律に沿った状態で経理ができます。インストール型ソフトのように、自分で新しいバージョンを買い直す手間や費用、そしてアップデートを忘れて間違った処理をしてしまうリスクもありません。
8. データ移行は計画的に!引っ越しはいつする?
新しいクラウド会計ソフトに乗り換えるときは、これまでのデータをスムーズに移行する計画を立てることが大切です。
- 最適なタイミング: 会社の「期首」、つまり新しい会計年度が始まるタイミングが一番おすすめです。この時期に始めれば、最初から正しい残高で運用をスタートできます。
- 何を引き継ぐ?: 移行が必須なのは、期首時点の「貸借対照表」の残高、勘定科目マスター、そして期中の「仕訳データ」などです。加えて、前年度以前の比較資料等を確認したい場合は、前述のデータの過年度分も必要になることがあります。
- 注意点: データを移すだけでなく、この機会に会社の経理のやり方全体を見直してみましょう。最初の設定を間違えると、後で修正に大きな手間がかかることがあるので注意が必要です。
9. 税理士さんとの関係はどうなる?
クラウド会計の導入は、税理士さんとの関係をより良いものに変えるチャンスです。
- リアルタイムで情報共有: クラウド上でデータを共有できるので、税理士さんはいつでもあなたの会社の状況を確認し、すぐに的確なアドバイスをくれます。
- より深い「パートナー」へ: これまでのように紙の書類をやり取りする手間が減り、税理士さんの役割は「記帳代行」(帳簿の入力)から、会社の経営について一緒に考える「パートナー」へと変わっていきます。
- コスト削減: 記帳代行の作業が減ることで、そのぶんの費用を、経営相談や節税対策など、もっと価値の高いサービスに使ってもらえる可能性があります。
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10. 使う場所やインターネット環境は大丈夫?
クラウド会計は、インターネットに繋がっていることが前提です。もしWi-Fiが不安定な場所で作業すると、読み込みに時間がかかったり、作業が止まってしまったりする可能性があります。
でも、そのおかげで、WindowsでもMacでも、スマホやタブレットでも使えるので、場所を選ばずどこでも経理ができて、とても便利です。特にfreeeはスマホアプリが充実していて、出先でも経費精算などがしやすいと評判です。
まとめ:自分に合ったソフトを見つけるための最終チェック!
初めてのクラウド会計導入は、会社の未来を考える上でとても大切な一歩です。この10のチェックリストを参考に、ぜひあなたにぴったりのソフトを見つけてください。
- 目的をはっきりさせる: 経理を効率化したい、確定申告を楽にしたいなど、導入する目的を明確にしましょう。
- 料金を比較する: 目先の月額費用だけでなく、長期的なコストや、時間短縮によるメリットも考えましょう。
- 実際に使ってみる: 無料のお試し期間を使って、操作性や使いやすさを自分の手で確かめるのが一番です。
- 税理士さんに相談する: クラウド会計に詳しい税理士さんに相談して、導入から運用までサポートしてもらうのも良い方法です。
クラウド会計ソフトは、どんどん進化しています。この素晴らしいツールを上手に活用して、経理の悩みを解消し、あなたのビジネスを次のステージに進めましょう!
※この記事は2025年9月時点の情報で作成されています。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





