クラウド会計導入は「まだ早い」?後悔しないための判断ポイント

管理者

近年、「クラウド会計」という言葉を耳にすることが増えましたね。インターネットの向こう側にあるシステムを使って、いつでもどこでも経理の仕事ができる便利なサービスです 。

銀行の口座情報やクレジットカードの利用履歴が自動で取り込まれ、面倒な仕訳作業も自動でやってくれるので、「経理の仕事が楽になる!」と期待している人も多いでしょう。

しかし、どんなに便利なツールでも、すべての人や会社にぴったり合うわけではありません。クラウド会計にも、導入すると「かえって大変だった…」と後悔してしまうケースがあるのです。

この記事では、クラウド会計を導入する前に知っておきたい「見送るべき理由」を、わかりやすく解説します。あなたの会社にとって、本当にクラウド会計が必要かどうか、一緒に考えていきましょう。

「クラウド会計は初期費用が安いからお得!」と思っていませんか?実は、そうとは限らない場合があります。この章では、お金やインターネット環境の問題について見ていきましょう。

1.1 毎月の利用料が意外と大きな負担に

昔ながらの会計ソフトは、最初に一度だけソフトを購入すれば、その後は買い替えやアップデートの時以外にお金はかかりません 。一方、クラウド会計は、毎月決まったお金を払って利用する「サブスクリプション」という形です 。  

たしかに、最初の費用は安く済みます 。でも、何年も使い続けると、トータルでかかる費用が、最初に高いソフトを買うよりも高くなってしまうことがあるのです 。  

ある調査では、中小企業の約45%がIT導入の課題として「コストが負担できない」と答えています 。特に、事業が成長してユーザーを増やしたり、新しい機能を追加したりすると、追加の利用料がかかることもあるので注意が必要です 。

導入する前に、今後5年や10年でどれくらいの費用がかかるかをしっかり計算してみましょう。

1.2 インターネットが使えないと何もできない

クラウド会計は、インターネットに繋がっていることが大前提のサービスです 。自宅やオフィスに安定した高速インターネット回線がないと、作業がスムーズに進まない可能性があります 。

回線が不安定だったり、遅かったりすると、入力中に画面が固まってしまい、仕事が進まないなんてことも 。月末や決算期など、急いで作業したい時に限ってネットの調子が悪いと、イライラしてしまいますよね 。

また、クラウド会計サービスの会社がメンテナンスをしたり、サーバーに問題が起きたりして、一時的にサービスが使えなくなるリスクもゼロではありません 。 

新しいシステムを導入したのに、結局誰も使ってくれなかった…という話はよくあります。この章では、人や組織の問題でクラウド会計の導入がうまくいかないケースを解説します。

2.1 経理の人が「面倒くさい」と感じてしまう

クラウド会計は、パソコン操作が苦手な人にとっては、新しいことを覚えるのが大変だと感じることがあります 。  

「せっかくシステムを入れたのに、これまで通りExcelで作業している人がいる」という失敗例も報告されています 。これは、単に操作が難しいだけでなく、「やり方を変えたくない」という気持ちが原因かもしれません 。  

クラウド会計の導入は、単なるツールの変更ではなく、仕事のやり方そのものを見直す「会社の変化」です。

新しいシステムに慣れるまで、みんなで協力して、根気よく勉強していくことが大切です 。  

2.2 顧問の税理士さんがクラウド会計に詳しくない

クラウド会計の大きなメリットの一つは、会計のデータを税理士さんとリアルタイムで共有できることです 。でも、クラウド会計に対応していない税理士さんもまだ多いのが現状です 。  

もし顧問の税理士さんがクラウド会計に慣れていない場合、システムを導入しても、結局データをPDFにしたり、Excelに変換したりする手間が増えてしまい、かえって非効率になってしまう可能性があります 。  

導入を決める前に、必ず顧問の税理士さんに相談してみましょう。

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会社の仕事のやり方や、扱っているものがクラウド会計の得意なことと違うと、せっかくの便利機能が活かせないことがあります。

3.1 現金でのやりとりが多い会社

クラウド会計の便利機能として、銀行口座やクレジットカードの取引が自動で取り込まれる機能があります 。しかし、お客様からのお金や支払い方法がほとんど現金やATMでの振り込みの場合、この機能のメリットをあまり感じられません 。

すべての取引を手で入力しなければならないため、「手間が減る」というメリットが薄れてしまいます 。  

もし現金での取引が多い会社がクラウド会計を導入したいなら、「現金でのやりとりを減らして、クレジットカードやインターネットバンキングの支払いに切り替える」といった仕事のやり方そのものを変える必要が出てきます 。

3.2 1年に1回しか経理をしない会社

「確定申告の時だけ、まとめて1年分のデータを入力する」という会社もあるかもしれません 。月額料金がかかるクラウド会計を年に1回しか使わないのは、毎月お金を払っているのに、ほとんど使っていないのと同じです 。  

こういった会社には、最初に購入する「インストール型」の会計ソフトの方が、費用を無駄にせず済む可能性があります。

3.3 特殊な業務ソフトとの連携や、既存会計ソフトの特殊な機能を使用している会社

クラウド会計はブラウザで利用するソフトが多く、既存ソフトのようなカスタマイズができないことがほとんどです。(一部対応しているものもあります。)

このような会計ソフトに切り替えてしまうと、それまでに連携して使用していた業務ソフトと連携が取れなくなってしまうことがあります。

連携が取れなくてもさほど大きな問題にならないケースもありますが、連携が失われたことで大幅に業務効率が損なわれるということもあります。

また、既存の会計ソフトではソフトそのものの機能で複雑な集計や予算管理に対応しているケースも多く、クラウド会計に切り替えたことでそのような機能が利用できなくなってしまうこともあります。

このような場合、クラウド会計のメリットよりもデメリットの方が大きくなり、結果として業務に大きな支障をきたしてしまうことがありますので、十分注意をして導入を進めるようにしましょう。

クラウド会計は、会社の重要な会計データやお客様の情報をインターネット上のサーバーに預けることになります 。

「データが漏れたり、なくなったりしたらどうしよう?」と不安に思う人もいるでしょう 。

しかし、ほとんどのクラウド会計サービスは、銀行と同じくらい厳重なセキュリティ対策をしています 。  

むしろ、パソコンが盗まれたり、壊れたりしてデータが消えてしまうリスクを考えると、クラウドにデータを預ける方が安全な場合もあります 。

大事なのは、利用する私たち自身も、パスワードをしっかり管理するなど、セキュリティへの意識を高めることです 。

それでも、不安だという場合には「インストール型」の会計ソフトを検討しましょう。

クラウド会計の導入を成功させるには、流行りに流されるのではなく、「あなたの会社にとって、本当に必要か?」をじっくりと考えることが何よりも大切です。

最終チェックリスト

最後に、導入を判断するためのチェックリストを用意しました。

質問はいいいえ判断のヒント
1. 毎月の利用料を払い続けられますか?長期的なコストを計算してみましょう 。
2. 安定したインターネット環境がありますか?ネット環境が不安定だと、仕事が滞ります 。
3. 経理の担当者は新しいシステムに抵抗がありませんか?導入は単なるツールの変更ではなく、仕事のやり方の変化です 。
4. 顧問の税理士さんはクラウド会計に対応していますか?税理士さんと連携できないと、かえって手間が増えることも 。
5. 現金取引がほとんどですか?自動連携のメリットが活かせず、手入力の手間が減りません 。
6. 経理の作業は年に1回しか行いませんか?月額費用が無駄になる可能性があります 。
7. 学校法人など、特別な会計処理が必要な会社ですか?一般的なクラウド会計は、特殊な会計処理に対応していない場合があります 。
8. 従業員数や部門数が多く、複雑な管理が必要ですか?大企業向けのシステムでないと、必要な機能がない場合があります 。
9.現在の会計ソフトで、他の業務ソフトとの連携や、複雑な集計などをしていませんかクラウド会計の機能によっては従来の業務が行えない場合があります。

もし「いいえ」が多かった場合や、不安に思う項目があった場合は、クラウド会計の導入は「まだ早い」のかもしれません。

そんな時は、無理に導入するのではなく、次のような方法を検討してみましょう。

  • 経理の仕事をアウトソーシング(外部に委託)する
  • 経理業務に詳しい専門家(会計事務所やコンサルタント)に相談する

➡セブンセンスのクラウド会計無料相談センターもぜひご活用ください

クラウド会計は、導入すれば終わりではありません。

「何のために導入するのか?」という目的をしっかり持ち、あなたの会社の状況に合った最適な方法を選ぶことが、ビジネスを成功させるための第一歩です。

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