税理士費用の相場は?クラウド会計で顧問料・決算料は安くなる?料金体系を徹底解説

管理者

「税理士にお願いしたいけど、費用がどれくらいかかるか分からない.. 」

「freeeやマネーフォワードを使えば、税理士の顧問料は安くなるって本当?」

会社の経営者や個人事業主の方にとって、税理士は心強いパートナーですが、その費用体系は複雑で分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。特に最近では、クラウド会計ソフトの普及に伴い、税理士との付き合い方も変化しています。

この記事では、そんな疑問や不安を解消するために、税理士に支払う費用の相場について、専門知識がない方にも分かりやすく徹底解説します。

  • そもそも税理士の費用には何が含まれているのか
  • 個人事業主と法人、それぞれの料金相場
  • クラウド会計を導入すると顧問料や決算料は本当に安くなるのか
  • 費用を抑えつつ、良い税理士を見つけるためのポイント

これらの情報を網羅し、あなたが最適な形で税理士と付き合い、事業を成長させるためのヒントを提供します。

まず、税理士に支払う費用が、どのようなサービスへの対価なのかを理解することが重要です。一般的に、税理士との契約で発生する費用は、主に以下の4つの要素で構成されています。

  1. 月額顧問料
    これは、毎月定額で支払う基本的な料金です。税務に関する日々の相談や経営に関するアドバイス、月次会計処理・試算表のチェックなどが含まれます。税理士と定期的にコミュニケーションを取り、会社の状況を常に把握してもらうための費用と考えると分かりやすいでしょう。
  2. 記帳代行料
    日々の取引記録(領収書、請求書、通帳のコピーなど)を基に、会計ソフトへ入力してもらう作業の対価です。取引の量(仕訳数)に応じて料金が設定されることが多く、経理担当者がいない会社にとっては重要なサービスです。
  3. 決算申告料
    年に一度の決算書の作成と、法人税や所得税、消費税の確定申告書を作成し、税務署へ提出してもらうための費用です。これは月額顧問料とは別に請求されることがほとんどで、「月額顧問料の4~6か月分」が目安と言われています。また、決算申告料とは別で、消費税申告の料金がかかる場合があります。
  4. その他
    年末調整や償却資産税申告など、個別に料金設定されていることが多いです。

これらの料金は、事業の形態(個人事業主か法人か)や売上規模、税理士との面談頻度などによって変動します。

クラウド会計に対応している税理士事務所と、従来の料金体系を持つ事務所とでは、料金設定にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの特徴を持つ税理士事務所の料金例をリストアップし、比較します。

freee/マネーフォワードクラウド対応の税理士事務所の料金例

クラウド会計に対応している事務所は、「自計化(自分で会計ソフトに入力すること)」を前提とした、シンプルで安価なプランを用意していることが多いのが特徴です。決算料が月額顧問料に含まれていたり、記帳代行を完全にオプションとして切り離したりすることで、低価格を実現している事務所も多いようです。

事務所によっては、契約時にfreee/マネーフォワード クラウドの導入支援に別途費用がかかる場合もあります。

料金・サービスは事務所によってかなり差があるので、単純な料金だけでなく、複数の見積もりを取るのがオススメです。

事務所名特徴料金体系の例(法人・税抜)
税理士法人AAI活用による低価格を特徴とする。・月額料金:980円 (年商1,000万円以下)
・決算申告料:39,800円(年商1,000万円以下)
税理士法人Bクラウド会計専門。決算料0円の定額月額料金制を導入。・月額料金:10,000円~ (決算料・申告料込み)
税理士法人C全国展開。クラウド会計による自計化を前提とした料金設定あり。・月額料金:20,000円~ (面談なしの場合)
・決算申告料:150,000円 (年商5,000万円未満)
会計事務所Dクラウドに強く、多彩なプランを提供。クラウド会計導入は別途費用。・決算申告料:98,000円~
会計事務所E記帳から労務関連の各種手続きまでをパッケージで提供。・月額料金:29,800円~ (記帳、給与計算、社会保険手続き等を含む)

従来の料金体系の税理士事務所 料金一覧

従来型の料金体系を持つ事務所は、ほぼ相場どおりの料金で設定されていることが多いです。記帳代行を顧問料に含んだプランや、訪問による手厚いサポートを重視する傾向があります。

事務所名特徴料金体系の例(法人・税抜)
会計事務所F税理士向けの会計ソフトを利用。伝統的な料金体系。・月額顧問料:30,000円~
・決算申告料:月額顧問料の4ヶ月分
税理士事務所Gスタートの売上高幅が高めに設定。・月額顧問料:30,000円/月(年間売上5千万円未満) 
・決算申告料:200,000円(年間売上5千万円未満)
税理士法人H伝統的な料金体系とほぼ同じ。・月額顧問料:30,000円(年間売上1千万円未満)
・決算申告料:120,000円(年間売上1千万円未満)

「freeeやマネーフォワードを導入すれば、税理士費用が安くなる」という話を聞いたことがあるかもしれません。その最大の理由は、「記帳代行料」を削減できる点にあります。

クラウド会計ソフトを導入し、自分で日々の取引を入力すること(これを「自計化」と言います)ができれば、これまで税理士に依頼していた記帳代行業務が不要になります。

従来、自計化をするには、企業内にある程度簿記や税務の知識が高いスタッフが常駐している必要がありました。

しかし、クラウド会計ソフトには、以下のような便利な機能があり、経理の専門知識がなくても比較的簡単に入力作業ができます

これらの機能を活用し、定型的な取引をルール化することによって、記帳の知識が少ないスタッフでも、記帳の精度を上げることができるようになったわけです。

また、記帳自体は従来どおり会計事務所に依頼したいという場合でも、これらの機能を使うことによって会計事務所側の負担を最小限にできるため、従来の相場よりも安い料金でサービスを提供している事務所が増えているわけです。

  • 銀行口座やクレジットカードとの自動連携: 取引明細を自動で取り込み、仕訳候補を提案してくれます。
  • AIによる学習機能: 一度登録した取引はAIが学習し、次回から自動で勘定科目を推測してくれます。
  • レシートのスマホ撮影: レシートをスマホで撮影するだけで、日付や金額を読み取りデータ化してくれます。

ただし、「クラウド会計を導入さえすれば、自動的に費用が安くなる」と考えるのは危険です。やり方を間違えると、費用が安くならないばかりか、かえって相場よりも高額な請求をされてしまうケースもあります。

最も多い失敗例が、不正確なデータ入力です。

クラウド会計の自動仕訳は非常に便利ですが、最初の設定を間違えたり、日々の取引を誤った勘定科目で処理し続けたりすると、信頼性のない会計データが積み上がってしまいます。

このような状態では、決算の段階で税理士が根本からデータを修正する必要が出てきます。この修正作業は、ゼロから記帳を代行するよりもはるかに手間がかかるため、結果的に1年分の記帳代行料に相当する追加費用を請求されるといった事態も起こり得ます。

コスト削減を成功させるためには、導入時に税理士などの専門家のサポートを受け、正しい設定と運用ルールを確立することが非常に重要です。

「クラウド会計で自分で申告できるなら、もう税理士は要らないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。ソフトウェアはあくまで計算や記録を自動化するツールであり、専門家である税理士の役割を完全に代替することはできません。

クラウド会計時代でも税理士が必要な理由は、主に以下の4つです。

  1. 専門的な節税提案
    ソフトウェアは過去のデータを処理することは得意ですが、あなたの会社の状況に合わせて「未来の税金をどうすれば安くできるか」という戦略的な節税策を提案することはできません。活用できる税制優遇など、専門家ならではの視点でアドバイスをもらえるのは大きなメリットです。
  2. 決算書・申告書の信頼性
    銀行から融資を受ける際、自分で作成した決算書と、税理士が署名・捺印した決算書とでは、その信頼性が全く異なります。税理士の署名は、その書類が専門家によって適正に作成されたことの証明となり、会社の信用を高めます。
  3. 税務調査への対応
    万が一、税務調査が入った場合、ソフトウェアがあなたの代わりに税務署と交渉してくれることはありません。税理士は専門家として調査に立ち会い、あなたの正当な権利を守るための盾となってくれます。
  4. 複雑な法人税の申告
    特に法人の場合、申告書の作成は非常に複雑です。多くのクラウド会計ソフトは決算書の作成までをサポートしますが、税務署に提出する専門的な申告書類一式を作成するには、高価な専門ソフトと高度な知識が必要となり、これは依然として税理士の専門領域です。

クラウド会計の導入は、税理士を不要にするのではなく、税理士の役割を「単純作業の代行者」から「経営をサポートする戦略的パートナー」へと進化させるものなのです。

クラウド会計を最大限に活用するためには、テクノロジーに強く、あなたのビジネスを理解してくれるパートナーとしての税理士を選ぶことが重要です。

クラウドに強い税理士の見極め方

  • 認定資格の有無: freeeやマネーフォワードは、自社ソフトに精通した会計事務所を「認定アドバイザー」として公開しています。これは客観的な指標の一つになります。
  • ITへの積極性: 事務所のウェブサイトなどで、ITツールの活用や業務効率化について積極的に情報発信しているかを確認しましょう。
  • コミュニケーション方法: チャットツールやWeb会議など、現代的なコミュニケーション手段に柔軟に対応してくれるかも重要なポイントです。

freee・マネーフォワードの税理士紹介サービスを活用する

自分で探すのが難しい場合は、ソフトウェア会社が提供する無料の紹介サービスを利用するのがおすすめです。

  • freee税理士紹介サービス: 専任のコーディネーターが要望をヒアリングし、最適な税理士を無料で紹介してくれます。
  • マネーフォワード 税理士・社労士無料紹介サービス: ITツールに強いことが保証された公認メンバーの中から、条件に合った税理士を無料で紹介してくれます。
マネーフォワードに強い税理士はこう選ぶ!税理士の探し方から連携の方法までを解説!
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費用を賢く抑えるための交渉術

税理士費用を抑えるためには、以下の点を意識して相談してみましょう。

  • 相見積もりを取る: 複数の税理士事務所から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討しましょう。料金相場もある程度イメージを持っておくと良いでしょう。
  • 依頼する業務範囲を明確にする: 「記帳は自社で行うので、チェックと決算申告だけをお願いしたい」など、依頼範囲を絞ることで費用を抑えられます。

面談の回数や方法を工夫する: 訪問の回数を減らし、オンラインでの面談を基本にすることで、顧問料を下げられる場合があります。

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「クラウド会計を導入すれば、税理士費用は安くなるのか?」という問いへの答えは、「正しい導入と運用をすれば、安くなる可能性が高い」です。

その鍵は、クラウド会計ソフトを活用して「自計化」を達成し、これまで税理士に支払っていた「記帳代行料」というコストを削減することにあります。

しかし、単にソフトウェアを導入するだけでは不十分です。入力ミスはかえって高くつくリスクがあるため、導入時には専門家である税理士のサポートを受け、正しい運用体制を築くことが成功の秘訣です。

この記事を参考に、あなたの会社に最適な税理士を見つけ、賢く費用を管理しながら、事業をさらに成長させていきましょう。

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