導入サポートを受けるべき企業の特徴とは?ITプロジェクトの成功確率を上げるためのガイド
序章:ITプロジェクトの現実と「助けを求める勇気」
新しいITシステムを会社に導入する。これは、会社の未来を明るくする、ワクワクするような挑戦です。しかし、実は多くのプロジェクトが、思った通りに進まずに途中で止まったり、失敗に終わったりしています。ある調査では、ソフトウェア開発プロジェクトの約69%が予定通りに終わらないというデータもあります 。
特に、最近話題になっているAIやDXといった、ちょっと難しそうなプロジェクトでは、その失敗率はもっと高くなります。従来のITプロジェクトの約2倍、なんと80%ものAIプロジェクトがうまくいっていないという調査結果もあるほどです 。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究でも、AIプロジェクトの95%が期待した成果を出せていないと指摘されています 。
https://mlq.ai/media/quarterly_decks/v0.1_State_of_AI_in_Business_2025_Report.pdf
なぜ、こんなに多くのプロジェクトが失敗してしまうのでしょうか?その一番の理由は、実は「技術が足りない」ことではありません。むしろ、「目的がはっきりしない」「新しいことに挑戦するのが苦手な人がいる」「社長と現場の考えがバラバラ」といった、会社の中にある人間関係や文化の問題がほとんどなのです 。
だからこそ、外部の専門家である「導入サポート」の力を借りることが、とても大切になります。専門家にお金を払うことは、単なる「余分な出費」ではありません。プロジェクトの失敗で会社が大きな損害を被るリスクを避け、成功の確率をぐっと高めるための、賢い「投資」だと考えましょう。
第1部:もしかして当てはまる?導入失敗に潜む3つの「落とし穴」
多くの会社がITシステムを導入する際に直面する「落とし穴」には、いくつか共通のパターンがあります。この3つの「落とし穴」に当てはまるかチェックしてみることで、あなたが導入サポートを必要としているかどうかがわかります。
1. 「羅針盤」がない落とし穴:目的がふわっとしていませんか?
プロジェクトが始まる時、「とにかく業務を効率化したい」「最新のシステムを導入すれば何かが変わるはず」と、目的がはっきりしないまま進めてしまうと、大きな失敗につながります 。
【失敗のサイン】
- 現場の声を聞いていない: 社長や上司の「これ、良さそうじゃん!」という思いつきだけでシステムを決めてしまうと、実際に使う現場の人が「これ、うちの仕事には合わないな…」と感じ、結局誰も使わないシステムになってしまいます 。
- 経営層と現場の温度差: 社長が「デジタルの時代だ!」と意気込んでいても、現場の社員が「また面倒なことが始まる…」と冷めた気持ちでいると、プロジェクトはうまく進みません。
外部の専門家は、まず会社全体を客観的に見て、本当に解決すべき問題は何かを一緒に見つけ出してくれます。そして、経営層と現場の間に立ち、みんなが「なるほど!」と納得できるゴールを見つける手伝いをしてくれるのです 。
2. 「頼れる人」がいない落とし穴:ITに詳しい人がいませんか?
ITのことに詳しい人が社内にいない、あるいはIT担当者が一人しかいない「一人情シス」のような状況は、システム導入の大きな壁になります。
【失敗のサイン】
- ベンダーに「丸投げ」してしまう: 専門知識がないため、システム会社に「全部おまかせします!」と言ってしまいがちです。しかし、あなたの会社の細かい仕事のやり方を一番よく知っているのは、あなた自身と社員です。丸投げしてしまうと、あなたの会社にぴったり合わないシステムができてしまうことがあります 。
- ノウハウが外に出ていってしまう: 全てを外部に任せきりにすると、システムの使い方や改善方法といった大事な知識が社内に残りません。その結果、何か問題が起きた時に、また外部に頼らざるを得なくなってしまいます 。
導入サポートは、ITに詳しい「頼れる人」として、システム会社の選び方や話し合いの進め方を教えてくれます。また、会社にノウハウが貯まるように、隣で一緒に走ってくれるようなサポートをしてくれることもあります。
3. 「変化が苦手」な落とし穴:新しいやり方を嫌がる人はいませんか?
新しいシステムを導入したのに、社員が「今まで通りがいい…」と古いやり方を続けてしまうことはよくあることです 。
【失敗のサイン】
- マニュアルや研修が不足している: 新しいシステムの使い方が分からず、そのまま放置されてしまうことがあります 。
- 新しいツールを使うのが面倒: 新しいシステムに慣れることに抵抗を感じ、誰も使わなくなってしまいます 。
導入サポートは、ただシステムを導入するだけでなく、社員が新しいシステムを「使いたい!」と思えるように、使い方を教えたり、質問に答えたりするサポートもしてくれます。これを「チェンジマネジメント」と呼び、会社の文化そのものを変えていく手助けをしてくれるのです 。
第2部:チェックリストで自己診断!「サポートが必要」な7つのサイン
あなたの会社が、今まさに外部サポートを必要としているかどうか、以下の7つの項目でチェックしてみましょう。
- サイン1:ITの「専門家」が社内にいない
- ITの知識を持った人がいない、またはたった一人で全てを担当している「一人情シス」状態。
- サイン2:会社がぐんぐん成長している
- 売上が急に増え、昔ながらのExcelや手作業での管理に限界を感じ始めている。
- サイン3:業務がバラバラでまとまっていない
- 部署や拠点ごとに違うシステムやExcelを使っていて、情報共有がうまくいっていない。
- サイン4:システムが古くなってエラーばかり起きる
- 今のシステムが古すぎて、エラーが頻繁に起きたり、法律が変わった時に対応できなかったりする。
- サイン5:難しいプロジェクトに挑戦しようとしている
- AIやDXのような、専門的な知識が必要な大きなプロジェクトを計画している。
- サイン6:早く成果を出したい
- 自社でゆっくり育てるよりも、外部の力を借りて早く結果を出したい。
- サイン7:過去にIT導入で失敗した経験がある
- 以前、システムを導入したけどうまくいかなかった。その失敗の原因が分からない。
もし、このリストに3つ以上当てはまるなら、外部サポートを検討する良いタイミングかもしれません。
第3部:外部サポートとIT導入補助金を賢く活用しよう
外部サポートを導入することは、ITプロジェクトの成功確率を上げるだけでなく、様々なメリットがあります。さらに、国が用意している「IT導入補助金」を上手に活用すれば、費用を抑えることも可能です。
1. 外部サポートで得られる3つの大きなメリット
- 成功確率がアップする: 専門家が客観的にプロジェクトを分析し、あなたの会社の業務に合った最適な方法を提案してくれます。これにより、失敗のリスクを大きく減らすことができます 。
- コストと時間を節約できる: ITに詳しい社員を新しく雇うのはお金も時間もかかります。外部サポートなら、必要な時に必要な分だけ専門家の力を借りられるため、人件費などの固定費を抑えることができます 。
- 会社が強くなる: 外部サポートは、システム導入だけでなく、業務のやり方を見直したり、社員のITスキルを上げたりする手伝いもしてくれます。これにより、会社全体の「変化に強くなる力」を育てることができるのです 。
2. IT導入補助金で費用を抑える
「IT導入補助金」は、中小企業や個人事業主がITツールを導入する際にかかる費用の一部を、国が代わりに払ってくれるとても便利な制度です 。
申請には少し複雑な手続きが必要ですが、IT導入支援事業者がその手続きをサポートしてくれるので安心です。
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【補助金活用のヒント】
- 早めに動く: 申請には時間がかかることがあるので、公募が始まる前からIT導入支援事業者に相談しておくのがおすすめです。
- 交付決定を待つ: 補助金の交付が決まる前に、ITツールを買ったり契約したりしてしまうと、補助金の対象外になってしまうので注意しましょう 。
- 実績豊富な会社を選ぶ: 補助金申請の手続きに慣れている事業者に頼むと、不備なくスムーズに進めることができます 。
まとめ:あなたの会社が「導入サポート」を必要とする時
ITシステムの導入は、社長やIT担当者だけのものではありません。会社にいるみんなで一緒に取り組む「会社をより良くする活動」です。もしあなたの会社が、
- ITに詳しい人がいない
- 社長と現場の考えがバラバラ
- 昔ながらのやり方を変えることに抵抗がある人がいる
- 過去にIT導入で失敗したことがある
といった状況に当てはまるなら、それはIT導入サポートを検討する絶好のチャンスです。
外部の専門家の力を借りて、ITプロジェクトの失敗という大きなリスクを避け、会社の成長を加速させましょう。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





