クラウド会計のセキュリティってどうなの?初心者でもわかる安全性の守り方
はじめに:クラウド会計は「みんなで守る」が鉄則!
「会社の会計データをネットに預けるなんて、本当に大丈夫?」そう思っている方も多いのではないでしょうか。会計は会社のお金に関わる大切な情報。不安に感じるのは当然のことです。
でも、結論から言うと、今のクラウド会計システムは、銀行と同じくらい高いセキュリティでデータを守っています。実は、会社のパソコンだけで管理するよりも、ずっと安全な場合が多いのです。
なぜなら、クラウド会計のセキュリティは、サービスを提供する会社と、それを使う私たち利用者が、一緒に協力して守っていく「責任共有モデル」という考え方だからです。
この記事では、難しくなりがちなクラウド会計のセキュリティについて、初心者の方でもわかるように、かみ砕いて解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたの不安が安心に変わり、クラウド会計を安全に使いこなすためのヒントが見つかるはずです。
第1章:クラウド会計に潜むセキュリティリスクって?
クラウド会計には、大きく分けて3つのリスクがあります。これらを正しく知ることが、安全に利用する第一歩です。
1. サービス提供者側で起こりうるリスク
クラウド会計サービスを提供している会社側で、もしものことが起きたらどうなるのでしょうか?
- データが漏れたり、なくなったりするかも?
大切な会計データや顧客情報が、サイバー攻撃などで外に漏れてしまう可能性があります。もし漏れてしまったら、会社の信頼を失うだけでなく、大きな損害につながることも。 - 急に使えなくなるかも?
システムにトラブルが起きたり、攻撃を受けたりして、サービスが止まってしまうことがあります。そうなると、大事な経理業務ができなくなってしまうかもしれません。 - サービス自体がなくなったらどうするの?
もしサービスを提供している会社が倒産したり、事業から撤退したりしたら、データの引き継ぎができなくなるリスクも考えられます。
2. 利用者側で起こりうるリスク
どんなに優れたシステムでも、使う側のミスや不注意で危険なことになってしまうこともあります。
- パスワードがバレて不正ログインされる
これが最も多いトラブルの原因です。推測しやすいパスワードを使ったり、色々なサービスで同じパスワードを使い回したりすると、不正にログインされてデータを改ざんされたり、持ち出されたりする危険があります。 - うっかりミスでデータを消してしまう
従業員の操作ミスで、大切なデータを消してしまったり、中身を書き換えてしまったりするリスクもゼロではありません。 - 仕事に関係ない人が見られる状態になっている
部署や役職に関係なく、みんなが同じようにデータを見られるように設定してしまうと、内部の不正につながることがあります。
3. 外からやってくるリスク(サイバー攻撃)
- 巧妙な「フィッシング詐欺」にだまされる
クラウド会計サービスを装った「なりすましメール」に注意が必要です。たとえば、「パスワードの有効期限が切れます!」などと書かれたメールで偽のサイトに誘導し、IDやパスワードを盗もうとします。 - 安全ではないWi-Fiを使う
カフェやホテルの無料Wi-Fiなど、セキュリティが弱い場所からクラウド会計にアクセスすると、通信の内容を盗み見られてしまう危険があります。
これらのリスクは、どれかひとつだけではなく、お互いに関係し合っているのが怖いところです。サービス提供者がしっかり守っていても、利用者がフィッシング詐欺にひっかかれば、不正ログインを許してしまうのです。
第2章:クラウド会計サービスはこんなに安全!プロが守る仕組み
クラウド会計サービスを提供している会社は、私たちのデータを守るために、専門的な知識と技術で、何重ものセキュリティ対策をしています。
1. 最新の技術でデータを守る
- 「カギ」をかけてデータを守る
クラウド会計サービスは、あなたのパソコンとサーバーの間でやり取りされる通信の内容を「暗号化」しています。これは、たとえ誰かが途中で盗み見ても、内容がわからないようにする技術です。また、サーバーに保存されているデータそのものにも、強力な暗号化を施しています。 - 「合言葉」だけじゃない!「本人」を確かめる
パスワードを入力するだけでなく、スマホに送られてくる認証コードや、専用のアプリを使って本人確認をする「多要素認証(MFA)」という仕組みも導入されています。これがあれば、たとえパスワードが盗まれても、不正なログインを防ぐことができます。 - 不正な侵入を24時間監視
サービス提供者は、常に外部からのサイバー攻撃を監視しています。不審な動きをいち早く見つけ、自動でブロックする仕組みも備えているのです。
2. 物理的な場所と人の力で守る
- 地震や火事に強い「要塞」のような場所
クラウド会計サービスのサーバーは、地震や火事、盗難に強い、とても頑丈な「データセンター」に置かれています。しかも、データを複数の場所に分散して保管しているため、もしどこかのサーバーにトラブルが起きても、データが消えてしまうリスクを最小限に抑えられます。 - 専門家が24時間体制でデータを見守る
データセンターでは、セキュリティの専門家が24時間365日体制でシステムを監視し、異常がないか見守っています。 - 外部の専門家もチェック!
サービス提供者は、自分たちだけでなく、外部のセキュリティ会社に依頼して、定期的にシステムの弱点がないか調べてもらっています。こうしたチェックは、より安全なサービスを提供するために欠かせません。
第3章:これが重要!利用者がやるべき5つの対策
クラウド会計の安全性を高めるには、システム側の対策だけでなく、私たちが日々の使い方を見直すことが最も大切です。
1. パスワード管理を徹底する
- 複雑なパスワードを設定する:誕生日や名前など、推測されやすいパスワードは絶対にやめましょう。英数字や記号を混ぜて、8文字以上にするのが鉄則です。
- 使い回しは絶対にしない:他のサービスと同じパスワードは使わないようにしましょう。
- 二段階認証を必ず使う:サービスにこの機能があれば、必ず設定してください。もしパスワードがバレても、不正ログインを防げます。
2. アクセス権限を正しく設定する
- 「必要な人だけ、必要な情報だけ」の原則:従業員ごとに、仕事で使う機能やデータだけを見られるように設定しましょう。不要な権限を与えないことで、うっかりミスや内部の不正を防げます。
- 辞めた人のアカウントはすぐに削除:退職した従業員のアカウントは、速やかに無効にすることが重要です。
3. セキュリティに関する知識を身につける
- フィッシング詐欺の手口を知る:不審なメールが来ても慌てないように、フィッシング詐欺がどんな手口で私たちの情報を盗もうとするのか知っておきましょう。
- 怪しいメールやリンクは開かない:クラウド会計サービスから届いたようなメールでも、少しでも怪しいと感じたら、メールのリンクはクリックせず、公式サイトからログインして確認しましょう。
4. 公共のWi-Fiは使わない
カフェや空港の公共Wi-Fiは、通信内容が盗み見られる危険があります。外出先でどうしても使う必要がある場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)など、通信を暗号化できるサービスを利用しましょう。
5. 経営者もセキュリティの重要性を理解する
セキュリティは、一部の担当者だけの仕事ではありません。経営者が「これは事業を守るための大事な投資だ」と理解し、セキュリティ対策に予算や人員をきちんと割くことが、会社全体の安全につながります。
第4章:クラウド会計を選ぶときのチェックリスト
最後に、安全性の高いクラウド会計を選ぶためのポイントをまとめました。
| チェック項目 | 説明 | なぜ重要? |
| データの暗号化 | 通信中と保存中の両方でデータが暗号化されているか | データが盗まれても内容を 読み取られないようにするため |
| 多要素認証(MFA) | IDとパスワードだけでなく、別の方法で本人確認ができるか | パスワードが盗まれても 不正ログインを防ぐため |
| バックアップ体制 | 定期的に自動でデータのバックアップを取ってくれるか | 万が一データが消えてしまっても、元の状態に戻せるようにするため |
| 第三者認証の取得 | ISO/IEC 27001やプライバシーマーク、SOCレポートを取得しているか | 外部の専門機関が、その会社のセキュリティ体制を客観的に評価した証明だから |
| SLAを公開しているか | 稼働率の保証などを公開しているか | サービス品質とその保証を確認できるため |
| 国内データセンター | サーバーが日本国内にあるか | 海外の法律や規制を気にせずに済むため |
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まとめ:クラウド会計は賢く使えば最強のツール!
「クラウド会計は危険」というのは、もう古い考え方です。現代のクラウド会計は、最新の技術と専門家の力によって、非常に高いセキュリティレベルを誇っています。
しかし、その安全は、サービス提供者と利用者の共同作業によって初めて成り立ちます。
私たちは、賢くサービスを選び、パスワード管理や権限設定をしっかり行い、セキュリティ意識を高めることで、クラウド会計を安全かつ最大限に活用することができます。クラウド会計は、あなたのビジネスを効率化し、成長させてくれる強力な味方になるでしょう。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





