【事業主必見】今更聞けない会計初心者講座 ~個人事業主のこれは経費計上NG!~ その3

管理者

「会計って難しそう…」そんなイメージを持っていませんか?
個人事業主や小規模な会社を経営していると、会計のルールや手続きがよく分からず、「何から始めればいいの?」と悩むことも多いですよね。帳簿のつけ方や経費の扱い、確定申告の準備など、知らないまま進めると後で大変なことになってしまうことも…。

でも、実は少しずつポイントを押さえていけば、会計はぐっと分かりやすくなります。
本コラムでは、初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説し、「知らなかったせいで損をする」ことを防ぐための知識をお届けします。
コラムを担当するのは、得意げに、そして易しく会計について教えてくれるおカネコ先生です!

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「この出費も経費にできたら、節税になるのに…」
そんなふうに思ったことはありませんか?
でも実は、どんな支出でも経費にできるわけじゃないんです。
事業に関係ないものや、法律で認められていない支出は、しっかり区別しておかないと、あとで税務署に指摘されることも…!

今回は、「これは経費にしてOK?NG?」と迷いがちな経費計上できない項目を、おカネコ先生と一緒にわかりやすくチェックしていきます。
うっかり経費にしてしまいがちな落とし穴、見逃さないでニャ!🐈

  1. 従業員の福利厚生費の範囲外の支出
  2. 生命保険料や医療保険料
  3. 資産購入費用を一括で経理処理
  4. 個人的な寄付金やお布施
  5. 住宅ローン返済額の経費化

    ① 従業員の福利厚生費の範囲外の支出

    「たまには自分へのご褒美旅行、経費で落としてもいいよね?!」

    福利厚生費は、従業員が安心して働けるように整えるための費用として経費計上できます。
    しかし、経営者や個人事業主本人のためだけの支出は福利厚生費として認められません
    例えば、経営者自身の慰安旅行やレジャー、個人的な贈答品の購入費用などは、
    いくら「モチベーションアップのため」と言っても事業のための支出とはみなされにくく、否認される可能性が高いです。
    また、福利厚生費は原則として従業員全員を対象にすることが大前提です。
    数名の従業員のうち特定の人だけを対象にした豪華旅行や高額ギフトは、福利厚生費ではなく給与扱いとされ課税されるケースもあります。

    📝知っトクPOINT

    • 福利厚生費は従業員全員が公平に受けられるものであることが条件
    • 経営者やその家族だけが対象の場合は経費不可
    • 特定の人だけが対象になる場合も「給与扱い」になる可能性あり
    • 福利厚生費ごとに非課税となるための要件や金額基準が国税庁によって定められています。
      例えば…
      社員旅行:原則4泊5日以内かつ全員参加が条件。
      健康診断費用:全員対象かつ会社が直接医療機関に支払うことが条件。
              ただし、個人事業主や青色事業専従者の健康診断費用は、
              福利厚生費にはなりませんので注意が必要です。
              これは他の従業員がいたとしても同様です。

      ※その他、細かな要件は、必ず専門家に確認をしましょう。

    👉 参考リンク 国税庁「交際費等と福利厚生費との区分」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm
    👉 参考リンク 国税庁「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm

    福利厚生費は「みんなのため」が基本だニャ!

    ② 生命保険料や医療保険料

    「毎月払ってる生命保険、経費になるよね?!」

    個人で加入している生命保険や医療保険の保険料は、事業主自身を被保険者としている場合、基本的に経費になりません
    この誤解は非常に多く、知らないうちに経費計上してしまい、後で指摘を受けるケースがよく見られます。
    個人事業主が支払った保険料は経費にはできませんが、その代わりに「生命保険料控除」として、所得から一定額を差し引くことができます。これにより、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。

    📝知っトクPOINT

    • 個人契約の保険料は経費にできない
    • 経費の代わりに「生命保険料控除」として所得控除を受けられる。

    👉 参考リンク 国税庁「保険料等」
    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm

    保険料は本当に間違いやすいから注意が必要だニャ!

    ③ 資産購入費用を一括で経費処理

    「このパソコン、買った年の経費にしていいでしょ?!」

    事業で使うパソコンや事務所の設備を購入した場合、取得価額が10万円未満であれば一括で経費にすることができます。
    しかし、10万円以上の備品や機械などは、原則として「減価償却」によって数年に分けて費用化する必要があります。
    これを知らずに一括経費計上してしまい、後で税務調査で否認されるケースは少なくありません。
    例えば、パソコン・複合機・事務所家具・空調設備などは減価償却の対象になりやすい代表例です。高額な設備を一括で経費処理してしまうと、修正申告が必要になるリスクもあるため注意が必要です。
    なお、青色申告をしている中小企業者・個人事業主であれば、「少額減価償却資産の特例」を使って、取得価額が30万円未満の資産を年間の合計額300万円まで一括で経費計上することが可能です。
    特例を使えない場合でも10万円以上20万円未満の資産であれば3年間で均等償却できる「一括償却資産」の制度を選ぶこともできます。

    「少額減価償却資産の特例」の適用には諸条件があります。

    • 青色申告をしている中小企業者・個人事業主
    • 取得価額が30万円未満の資産
    • 年間合計額が300万円まで

    📝知っトクPOINT

    • 取得価額10万円未満の資産は一括経費計上が可能
    • 10万円以上の資産は減価償却で数年に分けて経費化する必要あり

    👉 参考リンク 国税庁「減価償却のあらまし」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
    👉 参考リンク 国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

    「高額な買い物」=「すぐ経費」ではありません。条件を必ずチェック!

    ④ 個人的な寄付金やお布施

    「町内会費や神社のお布施、地域活動だし経費でいいよね?!」

    寺院や神社へのお布施、政治献金、PTA会費、町内会費などの
    個人的な寄付金や会費は、事業とは関係がないため原則として経費になりません
    特に「地域活動の一環」として町内会費や寄付を出している場合、
    経費として処理したくなりますが、事業収益と直接関係があるわけではないため認められにくいのです。
    法人の場合は寄付金について損金算入できる上限が税法で定められていますが、上限を超える部分は経費になりません。
    「事業のための支出かどうか」という観点が重要ですので、判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。

    📝知っトクPOINT

    • 個人の寄付金・お布施・町内会費は原則経費にならない
    • 法人の寄付金は損金算入限度額がある
    • 地域活動・宗教活動などは「事業関連性」が薄いため特に注意

    なお、認定NPO法人や特定公益増進法人への寄附金は「寄附金控除」の対象になったり、
    事業に関連する部分(例:事業所のゴミ収集費用を含む町内会費)であれば必要経費になるケースもあります。
    判断が難しいときは税理士に確認するのがおすすめです。

    👉  詳しくはこちら
    国税庁「寄附金を支出したとき」
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm
    国税庁「寄附金の範囲と損金不算入額の計算」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5281.htm

    「地域のつきあいだから」は経費の根拠にはなりません!!

    ⑤ 住宅ローン返済額の経費化

    「自宅兼事務所のローンだし、返済額全部を経費でいいよね?!」

    自宅兼事務所の住宅ローン返済は、元本部分は経費にできません
    経費として認められるのは利息部分のみであり、さらに事業で使用している割合を按分する必要があります。
    「仕事でも使っているから全額経費に」と処理してしまうと、税務調査で否認されるリスクが高いです。
    固定資産税や火災保険料についても同様に、事業で使用している部分のみ経費計上できます。
    自宅兼事務所は、事業使用割合の算出が重要なポイントです。
    面積比や使用時間比など合理的な方法で按分し、記録を残しておきましょう。

    📝知っトクPOINT

    • 住宅ローン返済の元本部分は経費計上できない
    • 利息部分のみ、事業使用割合を按分して経費計上が可能
    • 固定資産税や火災保険料も同様に按分が必要
    • 住宅ローン控除を受けている場合、事業用部分は控除対象外になるため按分管理が重要
    • 按分割合の根拠(面積比・使用時間比など)は記録を残しておくこと

    👉  詳しくはこちら
    国税庁「土地・建物(住宅ローン控除等)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/code/bunya-tochi-tatemono.htm

    自宅兼事務所は「合理的な按分」が鍵だニャ!

    いかがでしたでしょうか?
    「これは経費で落とせるはず!」と思っていた支出が、実はルールを守らないとNG…!というケースは少なくありません。
    特に、福利厚生費・保険料・資産購入費・寄付金・自宅兼事務所の費用など、
    事業とプライベートが混ざりやすい支出は税務調査でもよくチェックされる項目です。
    あとで修正や否認が起きないように、「ルールを知って、正しく処理する」ことがとても大切です!

    そこで、おカネコ先生からのアドバイスは…🐾

    ✅  福利厚生費は「従業員全員が対象」になっているか要確認!
     → 経営者や一部の人だけが対象だと、福利厚生費ではなく「給与扱い」になることも…!

    生命保険・医療保険は個人契約なら経費にできない!
     → 法人契約でも経費計上できる割合が限られているので要注意!

    10万円以上の備品は一括経費にできない!
     → 原則は減価償却が必要。

    寄付金やお布施、町内会費は原則経費NG!
     → 法人の寄付金は損金算入の上限があるため、処理前に税理士へ相談を!

    自宅兼事務所の住宅ローンは「利息部分のみ按分」して経費計上!
     → 元本は経費にできない。面積や使用時間の割合で合理的に計算し記録を残しましょう!

    経費の判断に迷ったら、まず「売上に直結する支出か」を考える!
     → 曖昧なまま計上すると税務調査で指摘されやすいので、税理士に早めのご相談を!

    今回ご紹介したものは、ほんの一例です。
    今後のコラムも、ぜひチェックしてくださいね!

    困った時は、すぐに税理士に相談するのが一番!
    セブンセンスグループは、
    いつでも、お客さまの最高のパートナーとして相談に乗ってくれるニャン!

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