【決定版】マネーフォワード クラウド会計で「仕訳の重複」を見つけ出し、安全に削除する方法
はじめに:なぜ仕訳の重複チェックが必要なの?
マネーフォワード クラウド会計(以下、MFクラウド会計)は、銀行やクレジットカードとのデータ連携により、会計業務を大幅に効率化してくれる便利なツールです。しかし、この自動連携やCSVインポートの過程で、知らず知らずのうちに「仕訳の重複」、つまり同じ取引が2回以上登録されてしまうことがあります。
仕訳が重複すると、費用や売上が水増しされ、会社の利益が実際よりも大きく見えてしまったり、税金の計算が狂ってしまったりと、重大な問題を引き起こします。この記事では、MFクラウド会計に搭載されている公式の「重複チェック」機能の使い方を中心に、重複が発生する原因から、安全にチェック・削除する方法までを徹底的に解説します。
Part 1:まずは原因を知る!仕訳重複の2つのタイプ
MFクラウド会計を利用する上で遭遇する仕訳の重複は、主に2つのタイプに分けられます。
1. 「二重計上」タイプ(機能的な重複)
これは、一つの取引に対して、異なるデータソースが反応してしまうことで起こる重複です。これは「完全に同じ仕訳」ではありません。
【具体的な例】
オンラインショップでクレジットカードを使って買い物をした際:
- 通販サイトの購入履歴: 「消耗品費 5,000円」として記録される。
- クレジットカードの利用履歴: 後日引き落としとして「5,000円の出金」として記録される。
このとき、(1)と(2)の両方を「費用」として処理すると、5,000円の費用が二重に計上されてしまいます。
このような重複については都度修正をするのではなく、自動仕訳ルールを見直すことによって対応します。
2. 「完全な重複」タイプ(ミスによる重複)
これは、日付、金額、取引内容などが完全に同一か、極めて類似した仕訳が複数回登録された状態です。主に、手動での二重入力やデータインポート時のミス等によって引き起こされます。
【具体的な例】
- 手入力ミス: 同じ経費のレシートを2回、手動で仕訳入力してしまった。
- データインポートミス: 外部から取り込んだ仕訳ファイルを、誤って2回連続でインポートしてしまった。
このミスによる重複こそ、MFクラウド会計の「重複チェック」機能で見つけ出すべき主要な対象です。
Part 2:【最重要】公式機能で重複をチェック・削除する手順
MFクラウド会計には、登録済みの仕訳の中から重複している可能性のあるものを探し出す「仕訳の重複チェック」機能が搭載されています。これを使って、技術的な重複を一網打尽にしましょう。
ステップ1:重複チェック機能の起動
- MFクラウド会計のメニューから「会計帳簿」>「仕訳帳」画面へ移動します。
- 画面上部に表示されている「重複チェック」ボタンをクリックします。
ステップ2:検索条件の設定(絞り込みの精度が鍵)
「仕訳重複チェック」画面では、以下の5つの項目を設定して、重複の可能性のある仕訳を絞り込みます。
| 項目名 | 説明 |
| 開始日・終了日 | チェックしたい期間の仕訳の取引日を指定します。 |
| 取引No | 仕訳の取引No(連番)を指定します。複数指定や、ハイフン「-」で範囲指定も可能です。 |
| 日数誤差 | 仕訳の取引日の許容される誤差日数(ズレ)を指定します。 |
| 金額誤差 | 仕訳の金額の許容される誤差金額を指定します。 |
【検索のポイント】
重複している仕訳は、通常、取引日や金額が完全に一致しているはずです。そのため、基本的には「日数誤差」や「金額誤差」を0に設定して検索すると、完全一致の重複を見つけやすくなります。
条件を指定したら、「検索」ボタンをクリックします。
ステップ3:検索結果の確認と安全な一括削除
検索結果には、指定した条件に該当する仕訳が一覧で表示されます。
- 重複仕訳の特定: 表示された仕訳が本当に重複しているかを確認します。
- 削除対象の選択: 画面左側にチェックボックスが表示されます。このチェックボックスにチェックを入れることで、削除対象を選択できます。
- 一番古い仕訳以外を一括選択: 「取引No」の左側にあるチェックボックスにチェックを入れると、重複した仕訳のうち、一番古い仕訳(最初に登録された仕訳)以外を自動で一括選択できます 。
- 削除の実行: 削除対象を選択したら、「一括削除」ボタンをクリックして、不要な重複レコードをシステムから排除します。
📝個別修正も可能
もし重複ではなく、「金額だけを修正したい」といった場合は、一覧から該当仕訳の「取引日」をクリックして仕訳帳画面に移動し、「編集」ボタンから個別に修正することも可能です。
Part 3:重複を未然に防ぐ!データの入口管理と予防策
「重複チェック」機能で重複を解消できますが、仕訳を登録する段階で予防策を徹底することも大切です。
鉄則①:資金移動は「通過勘定科目」で処理を徹底する
銀行口座間の資金移動や手元現金への出金などは、各口座の明細データや現金出納帳データとして双方に記載されるために重複しやすくなります。
この場合、相手方の勘定科目を直接対象の勘定科目とせず、「口座振替勘定」や「資金移動」などの通過勘定科目として処理する方法が推奨されています。
一方の明細データのみで仕訳を作り、もう一方を「対象外」として処理するケースもありますが、自動仕訳ルールに登録して処理しやすいのがこちらの方法です。
鉄則②:クレジットカード、ECサイトの支払いは「未払金」を使用する
Part1で紹介したような、クレジットカードのデータからECサイトの取引の仕訳を登録する場合、勘定科目を未払金とし、対象の補助科目(前述の例で言えば「Amazon」)を指定します。
同様に、銀行口座からクレジットカードの引き落としがされた時も勘定科目は未払金、補助科目を○○カードとします。
これは、正しく自動仕訳ルールを設定することで、科目選択を自動化することができます。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





