【事業主必見】今更聞けない会計初心者講座 ~減価償却費ってなに?~
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「会計って難しそう…」そんなイメージを持っていませんか?
個人事業主や小規模な会社を経営していると、会計のルールや手続きがよく分からず、「何から始めればいいの?」と悩むことも多いですよね。帳簿のつけ方や経費の扱い、確定申告の準備など、知らないまま進めると後で大変なことになってしまうことも…。
でも、実は少しずつポイントを押さえていけば、会計はぐっと分かりやすくなります。本コラムでは、初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説し、「知らなかったせいで損をする」ことを防ぐための知識をお届けします。コラムを担当するのは、得意げに、そして易しく会計について教えてくれるおカネコ先生です!

セブンセンスグループのオフィスに住み着く「おカネ」に詳しい「ネコ」。
会計初心者の個人事業主さんや小規模事業者さんの困った方を見るや否や、自慢のスーツに着替えて先生に大変身!得意げに、そして易しく会計について教えてくれる…かも?
今回のテーマ『減価償却費ってなに?』
個人事業を始めたばかりの方からよく聞かれる質問のひとつに、「この備品、経費で落としていいんですよね?」というものがあります。
たとえば、10万円以上のパソコンや業務用の冷蔵庫、エステ機器など。購入した年度の経費にして良いのか、迷ったことはありませんか?
このとき登場するのが「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」という会計用語です。
ちょっと難しそうに聞こえますが、実はとても大事な考え方。
金額が大きいモノを買ったとき、「一括で経費にするか」「分けて経費にするか」を判断する基準になります。
今回は、経理初心者がつまずきやすいこの「減価償却費」について、最初に抑えていただきたいポイントだけを簡潔に解説していきます🐾
減価償却ってどういう意味?
簡単に言うと…
そもそも「減価償却(げんかしょうきゃく)」とは何なのでしょうか?
ざっくり言うと、「高額なモノの価値を、複数年に分けて経費にしていく仕組み」です。
たとえば、事業用に20万円のノートパソコンを購入したとしましょう。
このパソコンは、買った年だけでなく、今後3~4年は事業で使い続けるものですよね。
そこで、「1年で一気に経費にするのではなく、何年かに分けて計上しましょう」というルールになっているのです。
この「何年かに分けて計上する費用」のことを「減価償却費」と呼びます。
どんなモノが対象?
減価償却の対象になるのは、時間の経過とともに価値が下がると考えられる「10万円以上のパソコン、車、機械、什器などの固定資産」です。
また、これらの固定資産は、財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で耐用年数が定められています。
減価償却はこの耐用年数に応じて、費用計上をします。
参考:財務省「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」
https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015/
減価償却の方法は2種類ある?
減価償却には、主に次の2つの算出方法があります。
(1)定額法(ていがくほう)
毎年同じ金額を減価償却費として経費計上していく方法です。
計算がシンプルで、資産の価値が一定のペースで減っていくイメージです。
たとえば、取得価額が20万円で耐用年数4年なら、毎年5万円ずつ償却していきます。
仕訳例
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 | |
2025/07/31 | 減価償却費 | 50,000円 | 工具器具備品 | 50,000円 | パソコン |
(2)定率法(ていりつほう)
毎年残っている価値に一定の割合をかけて償却していく方法です。
初年度の償却額が大きく、年々償却額が少なくなっていく特徴があります。
たとえば、耐用年数5年で償却率0.4なら、初年度は取得価額×0.4=償却費となり、翌年はその残額に対してまた0.4を掛ける…というふうに減っていきます。
「定額法」・「定率法」の、どちらを使うかは、資産の種類や制度の指定によりますが、個人事業主は原則として「定額法」で計算する必要があります(一部例外あり)。クラウド会計ソフトではこの計算を自動でやってくれる便利機能もありますが、償却方法や耐用年数を間違えると計算ミスになるので要注意です。

減価償却費の計上は専門知識が必要だから、
困ったら税理士に相談することをおすすめするニャン!
減価償却費を理解しないと何が困る?
「なんとなく難しいし…」と敬遠されがちな減価償却費ですが、基本のキを理解していないと、帳簿や税金に大きな影響が出てしまいます。
ここでは初心者がよくつまずくポイントをご紹介します。
(1)高額な備品を一括で経費にしてしまうと…
たとえば、100万円の業務用機器を購入した年に、全部を「消耗品費」として経費にしたとします。
しかしこれは税法上NG。
税務調査が入った場合、「過大な経費計上」と見なされ、修正申告や追徴課税を求められる可能性も。
減価償却を正しく行えば、毎年一定額ずつ経費にでき、会計上も税務上もスムーズに処理できます。
(2)クラウド会計ソフトも設定ミスに注意!
最近は、会計ソフトが減価償却の計算を自動で行ってくれる便利な時代になりました。
ただし「償却方法」「耐用年数」「取得日」などを正しく入力していないと、計算結果も間違ってしまいます。
特に「定率法と定額法」の違いを理解していないと、「思ったよりも経費が少ない/多い」などのズレが発生しやすくなります。
(3)資金繰りの見誤りにもつながる
「高額な備品を買ったのに、帳簿上は利益が出ている」ということがあります。
これは減価償却費が毎年分割されるため、キャッシュ(現金)と帳簿上の損益が一致しないからです。
そのため、資金繰りや利益の見通しを立てるときは、「減価償却費を加味した実質的な支出」を意識しておく必要があります。
おカネコ先生のワンポイントアドバイス
減価償却費は、聞き慣れない言葉かもしれませんが、「高額なモノをどう経費にするか」を判断する重要なポイントです。
節税にも直結する部分なので、早めに基本を押さえておきましょう。
帳簿をきちんとつけたいと思っていても、「減価償却っていつから?」「耐用年数はどうやって調べるの?」と迷う場面も多いと思います。
そんなときは、会計ソフトの初期設定や、税理士への相談をうまく活用してください。
そこで、おカネコ先生からのアドバイスは…🐾
✅ 10万円以上&1年以上使うモノは「減価償却」の対象ニャ!
→ 毎年分割して経費にするのが基本ニャ!
✅ クラウド会計ソフトを使うなら「耐用年数」「取得日」「償却方法」を正しく設定するニャ!
→ 自動計算がしっかり働くニャ!
今回ご紹介しきれなかった「少額減価償却資産の特例」など、条件によって様々な特例があるのが減価償却の世界。
まずは基礎をおさえつつ、不明点はなるべく早く税理士に相談してほしいニャ!🐾

困った時は、すぐに税理士に相談するのが一番!
セブンセンスグループは、
いつでも、お客さまの最高のパートナーとして相談に乗ってくれるニャン!