クラウド会計ソフト導入で失敗しない!よくある5つの不安と解消法(インボイス・セキュリティ対策)
導入:なぜ今、静岡の中小企業が「クラウド会計」を選ぶのか?
静岡県内の中小企業や小規模事業者の間で、会社のデジタル化(DX)は急務の課題となっています 。特に、新型コロナウイルスの影響を受けてからは、静岡県自体も事業者のデジタル化を積極的に支援する取り組みを進めてきました 。
このような背景の中、「経理や会計をもっと楽にしたい!」「急な法改正にも自動で対応したい!」と考える経営者にとって、クラウド会計ソフトは、もはや欠かせないツールとなっています。しかし、「インターネット上で会計をするなんて、本当に安全なの?」「切り替えって大変そう…」といった不安も尽きません。この記事では、地域に根差した静岡の税理士や会計事務所に寄せられる、クラウド会計導入に関するよくある相談TOP5を、専門家によるわかりやすい解説とともにお届けします。
1. 知っておきたい!「クラウド会計」と従来のソフトの違い
まず、クラウド会計とは何かを簡単に理解しましょう。
従来の会計ソフト(インストール型)が、特定のパソコンにダウンロードして使う「自分だけの会計日誌」だとすれば、クラウド会計はインターネット上で動く「みんなで同時に見られる共有のWebノート」のようなものです。
| 比較ポイント | クラウド型会計ソフト | インストール型会計ソフト |
| 利用環境 | インターネット環境必須(ネットがあればどこでもOK) | 特定のPCへのインストールが必要 |
| 法改正対応 | 自動で更新(追加費用なし) | 手動で更新が必要なことが多い(追加費用が発生することもある) |
| 日々の入力 | 銀行やクレカと自動連携。入力が劇的に楽に。 | 手動での入力作業が多い |
| コスト形態 | 継続課金制(月々または年間の利用料) | 買い切り型(初期費用が高め) |
| 利用デバイス | パソコン、スマホ、タブレットに対応 | 一般的にパソコンに限定されることが多い |
クラウド会計の最大のメリットは、銀行口座やクレジットカードと連携し、仕訳候補を自動で提案してくれるため、日々の入力作業が劇的に減り、経理の効率化が図れることです。
2. 【静岡の会計事務所が語る】クラウド会計でよくある相談TOP5
静岡県の中小企業を支援する専門家たちが、お客様から頻繁に聞かれる5つの不安とその解決策を紹介します。
第1位:導入・初期設定はどこまで任せられますか?
抱えている不安
「新しいソフトの設定は、専門用語が多くて難しそう…」「自分で設定して、かえって業務が非効率になったらどうしよう」。
クラウド会計は従来のインストール型会計ソフトと基本的な使用方法が大きく異なるため、乗り換えをされる場合に不安を持たれることも多いようです。
加えて、自社の顧問税理士が対応していない場合では導入支援を受けられない、ということも多いため、切り替えに対してさらに慎重にならざるを得ないという状況もあります。
専門家の回答:プロに任せる「二度手間回避」の安心感
会計ソフトベンダーのサポートでは電話やチャットなどで、集中的に導入支援をしてもらうのは難しいケースが多いです。
クラウド会計導入に強い税理士事務所に依頼すれば、ソフト選びから初期設定、過去データの移行、そして社長や担当者への操作レクチャーまで、導入作業のすべてをリードしてもらえますが、長年付き合いのある税理士はそのままに、ソフトだけを入れ替えたいというケースもあるでしょう。
そんな時には、導入支援のみを専門で行っている業者に依頼することが有効です。
このような対応をしている業者は現時点ではあまり多くありませんが、税理士事務所でも顧問契約不要で対応しているケースもありますので、根気よく探してみてください。
➡セブンセンスでは税務顧問の有無に関係なく、月3,300円(税込)から、クラウド会計の導入をサポートしています。
第2位:インボイス制度や法改正への対応が煩雑で不安です
抱えている不安
2023年秋に始まったインボイス制度のように税制は頻繁に変わるけれど、クラウド会計はどのように対応してくれるのかわからないため、漠然と不安に思っているという方もいらっしゃいます。
また、ある日突然、ソフトの機能が変わってしまうことは、インストール型のソフトにはない不安といえるかもしれません。
専門家の回答:自動更新で「コンプライアンスリスク」をゼロに
クラウド会計は自動的に法令に対応した機能がアップデートされることがほとんどです。これにより、システム側は常に最新の税制に対応しているため、法改正によるコンプライアンス(法令順守)違反のリスクは最小限にできます。
一方、ソフトの機能が勝手に変わってしまうことによる不安もあることでしょう。
ただ、機能のアップデートについては事前にソフトベンダーからアナウンスがありますから、あらかじめ準備をすることはできますし、ソフトに精通した税理士と契約しているようであればアドバイスももらえるはずです。
また、インストール型のソフトの場合、制度改正に対応したプログラムが有償で提供されることも多いのですが、クラウド会計では料金の範囲内で無償対応されることがほとんどですので、スポットで大きな出費がないという点では安心して利用できるのではないでしょうか。
第3位:現在の会計ソフトからの切り替えは大変ですか?
抱えている不安
「長年使ってきたソフトから、新しいシステムにデータを移し替えるのが面倒くさい」「新しい操作に慣れるまで、業務が滞りそうで怖い」といった不安は、クラウド会計ソフトにかかわらず、大規模なシステムのリプレイスでは必ず問題になります。
専門家の回答:データ移行はインストール型に比べてしやすいものの、運用面のルール作りは慎重に。
freeeは個人のプレミアムプランに限り、他の会計ソフトから仕訳データのインポートを依頼できるサービスがあります。
また、マネーフォワードではソフトそのものに、他社ソフトの勘定科目・開始残高・仕訳データをインポートする機能がついていますし、有料の移行サービスもあります。

このような点で、クラウド会計へのデータ移行に関しては、インストール型ソフトに比べて比較的簡単に行えるといえるでしょう。
しかしながら、必ずしも切り替えが自体が簡単ということではありません。
クラウド会計では、freee会計にしてもマネーフォワードクラウド会計にしても、手入力を極力なくし、データの連携を前提とした運用をすることが基本となっています。
このため、いかにデータを連携して行くか?という点で、これまでの会計ソフトとは全く異なる運用方法を設計する必要があります。(手入力による仕訳登録ができないわけではありませんが、それではクラウド会計のメリットを享受できず、かえって非効率になってしまうでしょう。)
事前にしっかり検証をしたうえで、きちんとした運用ルールを作ってから切り替えを行うことが成功へのカギとなります。
第4位:クラウドのセキュリティとデータ漏洩が心配です
抱えている不安
近年発生している企業へのサイバー攻撃のニュースから、「会社の機密情報や通帳データがインターネット上にあると、ハッキングされたり、情報が漏れたりするのではないか」という心配をもつ企業も多いです。
専門家の回答:金融機関レベルの暗号化と「人の教育」が鍵
クラウド会計ソフトを提供している事業者は、一般的に金融機関と変わらない厳重な暗号化通信を含む、高度なセキュリティ対策を講じています。高度なハッキング集団でも、セキュリティを破るのは非常に難しいと言われています。
むしろ注意すべきは、内部の人的要因によるセキュリティリスクです。
予測されやすい短いパスワードを使用していたり、メールなどからPCがマルウェアに感染してしまうなど、個人のITリテラシーの低さからサイバー攻撃のきっかけを作ってしまうことの方がはるかに危険度が高いというのが現実です。
クラウド会計を利用する・しないに関わらず、これらのリスクへの対策は日ごろからしっかりと行っていただく必要があります。
第5位:自社担当の税理士がクラウド会計に対応していません
抱えている不安
中小企業の場合、毎日の仕訳入力は自社で行い、申告は税理士が行うという形が一般的です。(記帳代行を依頼している場合を除く)
この場合、いくら企業側でクラウド会計を導入したくても、税理士が対応していないということで導入を断念せざるを得ないということも少なくありません。
仮に導入ができたとしても、結局、紙でのやり取りや手作業が必要になり、手間が増えてしまうためにクラウド会計を導入していないということもあります。
専門家の回答:税理士と良く打ち合わせをして、導入を検討しましょう
この問題は税理士側の都合が大きいため、企業側で対応することが難しい問題です。
税理士事務所によっては使用する会計ソフトを指定していることも多いため、どうしても会計ソフトを切り替えたいのであれば、税理士を変えざるを得ないケースもあるでしょう。
ただ、freeeやマネーフォワードでは他社ソフトの形式の仕訳データをエクスポートする機能もあります。
税理士によっては、対応するソフトの形式でデータを受け取れるのであればOKということもありますので、事前によく確認するようにしてください。
また、クラウド会計では、税理士がいつでも企業側のデータにアクセスできるように、ユーザー側のアカウントを消費せずに利用できるようになっています。
顧問先の会計データがいつでも確認できることは税理士にとってもメリットが大きいため、交渉によっては税理士がクラウド会計の利用を許可してくれることもあるかもしれません。
なお、静岡県内でもクラウド会計に習熟した専門家が増えています。このような専門家を選べば、お客様が入力した仕訳データをすぐに確認できるため、直接会わなくてもタイムリーな経営状態の把握とアドバイスが可能になり、会計業務が「申告のための作業」から「経営判断のためのツール」へと進化します。
➡セブンセンスはマネーフォワードクラウドのプラチナメンバーであり、freeeの認定資格も保有するスタッフが多数在籍しています。
3. まとめ
クラウド会計を初めて導入する際は、誰でも心配が付きまとうものです。
しかし、主要なソフトの登場から10年以上がたち、各ソフトの機能やサポートは洗練されてきています。
これまでに感じていた不安に対しても各ベンダーや税理士等のパートナーが対策を行っていますので、安心して利用できる環境が整ってきています。
「これまでクラウド会計は不安に思っていたけど、今後は導入を検討していきたい!」という方は、ぜひこの記事の内容をもとに、検討を進めてみてください。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





