【完全ガイド】税理士が教える「税務調査」対策|勘定科目別 〜仕入編〜
税務調査は、事業規模や法人・個人を問わず、すべての事業者が対象になり得ます。そのため、「うちの帳簿は本当に大丈夫かな?」「もし調査官が来たらどうしよう」と、ふとした瞬間に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムでは、セブンセンスグループの税理士監修のもと、税務調査で指摘されやすいポイントと、正しい処理のポイントを整理して解説します。前回の「売上」に続き、今回のテーマは「仕入」です。
仕入は、売上とセットで発生する基本的な取引ですが、税務調査ではどのような点に注目されるのでしょうか?
仕入に関しては、主に4つの観点から調査が行われます。
1.架空の仕入や水増しがないか

1つ目は、「架空の仕入や水増しがないか」という点です。
実際には仕入れていないのに、仕入伝票や請求書だけを作成して費用を計上し、利益を圧縮するという不正は昔からある典型的な手法です。そのため、調査官は「実際に仕入れた証拠があるか」「その仕入れに対応する在庫や売上が存在するか」を丁寧に確認していきます。
例えば、仕入れの記録はあるのに在庫も売上も見当たらない場合、「帳簿上だけの仕入ではないか?」と疑われてしまうでしょう。
また、決算月の前後では、仕入の納品日・請求日・計上日がズレていないかにも注意が必要です。たとえば、請求書が3月に届き、納品が4月だった場合、4月に仕入計上する必要があります。仕入は原則、実際の納品日=資産や費用の発生が確定した日を基準に計上するため、「いつ計上するべきか」を意識して帳簿をつけることが大切です。
2.棚卸資産との整合性

2つ目は、「棚卸資産との整合性」です。
仕入れた商品や原材料が、そのまま在庫として残っているのか、それとも売上に結びついているのかを調査されます。ここで不一致があると、「過大に仕入を計上しているのでは?」という疑いにつながります。棚卸表や在庫台帳、実地棚卸の記録と帳簿が一致していることが大切です。
3.返品や値引きの処理が正しく行われているか

3つ目は、「返品や値引きの処理が正しく行われているか」です。
仕入れた商品が返品されたのに仕入金額をマイナス処理していなかったり、値引きがあったのに計上を修正していないと、仕入額が過大計上となりやすいです。返品伝票や値引き伝票をきちんと記録し、在庫数量や仕入金額の修正を行っているかを調査官は見ています。
4.インボイス(適格請求書)の保存と仕入税額控除の正しい処理

4つ目は、「インボイス(適格請求書)の保存と仕入税額控除の正しい処理」です。
2023年10月にスタートしたインボイス制度では、消費税の仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の保存が必須条件になりました。仕訳においては、初心者の方は特に、「仕入先がインボイス発行事業者であるかどうかの確認」と「帳簿への正確な記録」が、重要です。会計ソフトのインボイス対応機能を活用するなど、日頃から仕訳処理の正確性を意識することが大切です。
実務で気を付けたいポイント
なるほど。売上と同じように、計上時期と証拠の整合性が大事になるんですね。
調査官は具体的にどのような資料を確認してくるのでしょうか?
調査官が確認する資料は主にこちらです。
これらの資料が帳簿と矛盾なく並んでいれば大丈夫です。逆に、帳簿だけ立派でも証憑が揃っていなければ、調査官からは「信頼できない帳簿」と見られてしまいます。
- 納品書(いつ届いたか)
- 請求書(いつ請求されたか)
- 支払明細書(いつ支払ったか)
- 領収書
- 棚卸表や在庫台帳(残っているか)
- 倉庫の写真や実地棚卸の記録(現物と一致しているか)
- 返品伝票や値引きの証憑
- 適格請求書(インボイス)
そうすると、棚卸の管理も重要になりそうですね。
おっしゃる通りです。
特に在庫が多い業種(製造業や小売業など)では、棚卸管理が甘いとすぐに疑われます。
理想は、年末の実地棚卸の際に写真やチェックリストを残しておくことです。
「この商品はこの棚にいくつある」という状態が、帳簿と完全に一致しているような管理体制であれば、調査官も納得しやすくなるでしょう。
まとめ
最後に、日々の記帳で意識しておくべきポイントを教えてください。
仕入に関しては、以下の4点を普段から意識して管理しましょう。
- 仕入内容や時期、金額が正しく記帳されているか
納品日や契約内容に基づき、適切な時期に仕入を計上しているか、
また請求額・支払額と突合が取れているかが大切です。
これらが整理されていないと、
帳簿と実態にずれが生じてしまう可能性があります。 - 在庫との整合性
仕入れた商品が在庫として正しく計上されているか、
実地の数量と帳簿が一致しているかも確認されます。 - 帳簿以外の証憑書類の管理
見積書や発注書、納品書など、
仕入れの流れを説明できる資料を保管しておくと安心です。 - インボイス制度への対応
仕入税額控除を受けるには、適格請求書の保存が必要なので、
その管理も重要です。
税務調査で慌てないためにも、日頃から「証拠を残す」意識を持って経理を行いましょう。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





