【完全ガイド】税理士が教える「税務調査」対策|勘定科目別 〜売上編〜
税務調査は、事業規模や法人・個人を問わず、すべての事業者が対象になり得ます。そのため、「うちの帳簿は本当に大丈夫かな?」「もし調査官が来たらどうしよう」と、ふとした瞬間に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に「売上」は、日々の取引の中でも最も身近な項目ですが、実は「入金された金額を記録すれば終わり」という単純なものではありません。ご自身では正しく処理しているつもりでも、税務上のルールと照らし合わせると、思わぬ認識のズレが生じていることもあるのです。
そこで本コラムでは、セブンセンスグループの税理士監修のもと、税務調査の現場視点でチェックしておきたい「売上」の重要ポイントを整理してお伝えします。
売上は会計処理の中でも基本的な項目のように思えますが、
税務調査ではどのような点が特にチェックされやすいのでしょうか?
はい。売上は税務調査で最も厳しく見られるポイントの一つです。
大きく3つの視点でチェックされます。
1.売上の「計上時期」と「期ずれ」

1つ目は「売上の計上漏れ」や「期ずれ」です。
売上の計上漏れは当然に修正が必要になりますので容易にご理解いただけると思います。問題になるのは「期ずれ」です。例えば、実際は3月(当期末)に発生した売上を、4月(翌期)に計上してしまうケースです。
特に決算月の前後は、請求日・納品日・入金日がズレていないか調査官が重点的に確認します。例えば12月決算法人の場合に、12月のクレジットカード売上を入金のあった翌年1月に計上してしまうと、「期をまたいで売上を遅らせているのでは?」と疑われやすいのです。こうした期ズレがあると、申告漏れと判断されることもあるため注意が必要です。
2.売上に対する「経費比率」の確認

2つ目は「売上に対する経費の比率が不自然に高い」場合です。
たとえば、年間売上に対して、ほとんど利益が出ていないにもかかわらず事業が継続されているようなケースでは、「私的な支出を経費に含めていないか?」といった観点で調査されることがあります。
もちろん、適正な経費率は業種や事業の性質によって異なりますが、ご自身の経費構成が妥当かどうか、あらかじめ確認しておくことが大切です。
3.現金取引と管理の透明性
3つ目は「現金取引」です。
飲食店や小売業、美容業など、現金を扱う機会が多い業種は要注意です。現金は電子記録が残らないため、調査官は「売上を抜いていないか?」という視点で重点的に確認します。
そのため、売上日報・レジ集計表・金銭出納帳などをきちんと残しておくことが非常に重要です。口頭やメモだけでの管理では説明がつかず、調査の際に否認されることもあります。
なるほど。売上というのは単に「入金があったら記録すればいい」わけではないのですね。では、税務署は具体的にどのように売上のチェックをしてくるのでしょうか?
はい。調査官はまず、その事業の実態を丁寧にヒアリングします。
「どのような商品やサービスを、どのようなタイミングで、どのように請求・入金しているのか」という業務フローを詳しく確認します。
その後、帳簿だけでなく請求書・納品書・通帳・契約書・売上台帳など売上に関する資料を突き合わせて、記帳内容と証憑の間に不整合がないかを確認します。特に「入金ベースで記帳していないか」「売掛金の消し込みに不自然な点はないか」「請求書と帳簿の計上時期が一致しているか」といったところが見られます。
まとめ
日々の記帳を見直す際に、意識しておくべきポイントがあれば教えてください。
売上に関して注意すべき点は、以下の3つに集約されます。
- 「請求日・納品日・入金日」を正確に記録すること
記帳の基準日を明確にし、それに従って一貫性のある処理を行いましょう。
決算期前後の「期ずれ」に注意しましょう! - 売上に対して経費が多すぎないかを定期的に確認すること
経費割合が極端に高いと税務署に疑念を持たれやすくなります。
グレーな経費はできるだけ避け、迷ったら事前に税理士に相談すると安心です。 - 現金管理の透明性を高めること
現金取引が多い場合は、レジ記録・領収証・売上日報など客観的な記録を残し、
第三者が見ても分かる状態にしておくことが重要です。
これらをきちんと管理しておけば、税務調査で慌てることはありません。
普段から「見せられる帳簿」を意識しておくことが大切です。

セブンセンス株式会社
コンサルタント
【プロフィール】
2015年、セブンセンス株式会社に入社。 前職の会計ソフトベンダーにおけるシステム提案の経験を活かし、中小企業を中心としたバックオフィス業務の改善コンサルティングを担当。業務効率化やDX推進を支援する傍ら、デジタルマーケティング領域も管轄している。
freee、マネーフォワード、OBC、PCA、ソリマチなど、主要な会計ソフトベンダーの認定資格を多数保有しており、各社のシステムに精通した中立的な視点でのツール選定・導入支援に強みを持つ。





